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プレゼンティーイズムとは?

目次

見過ごされがちな“出社しているのに働けていない”問題

働き方改革や健康経営が叫ばれる中で、近年注目を集めているキーワードのひとつが「プレゼンティーイズム(Presenteeism)」です。聞き慣れない言葉かもしれませんが、多くの職場で既に起きている“隠れた問題”とも言える現象です。

プレゼンティーイズムの定義

プレゼンティーイズムとは、病気や不調を抱えながら出勤し、パフォーマンスが十分に発揮できていない状態を指します。
例えば、風邪やアレルギー症状、慢性的な頭痛や腰痛、メンタルの不調、睡眠不足、生活習慣病など、「休むほどではないが、万全でもない状態」で働く人が該当します。

アブセンティーイズムとの違い

似たような言葉に「アブセンティーイズム(Absenteeism)」があります。こちらは欠勤や病欠を意味します。
アブセンティーイズムは数字として把握できるため対策も立てやすい一方、プレゼンティーイズムは“出勤している”ために見過ごされやすいのが特徴です。

プレゼンティーイズムを測る主な指標(SPQとHPQ)

従業員の“見えない生産性損失”を把握するためには、定量的な評価指標が欠かせません。
ここでは、職場でよく使われる2つの代表的な指標をご紹介します。

SPQ(Single-item Presenteeism Question)― 東大1項目版

東京大学の研究チームが開発・検証を行った、たった1問で生産性損失を測定できる指標です。

 項目[SPQ]の内容
質問内容「過去4週間の仕事のパフォーマンスは何%でしたか?」(100%=理想)
回答形式1〜100%の数値で自己評価
損失の算出100 − 回答値 = 生産性損失(%)
特徴✔ 1問で簡単に測定可能
✔ 属性に影響されにくい
✔ 定期的な追跡に適している

▶ 例:80%と回答 → 生産性損失 20%
→「仕事には来ているが、2割パフォーマンスが落ちている」状態を意味します。

HPQ(Health and Work Performance Questionnaire)

WHO(世界保健機関)開発の詳細版パフォーマンス評価ツールです。

項目[HPQ]の内容
質問内容「理想の従業員と比べて、自分のパフォーマンスは0〜10点で何点か?」
回答形式0〜10点(10=最高)
損失の算出100 −(10点満点中のスコア×10)= 生産性損失(%)
特徴✔ 詳細で信頼性高い
✔ 研究でも多数使用
⚠ 回答に時間がかかる
⚠ 比較基準が曖昧になりやすい

▶ 例:7点と回答 → HPQスコア 70% → 生産性損失 30%

どちらを使うべき?

比較軸SPQHPQ
簡便さ(1問)(複数項目)
属性の影響少ない比較的大きい
比較のしやすさ高い(絶対評価)やや低い(主観的な比較)
実務への活用度(定期調査や企業比較に適する)(研究・詳細分析向き)

SWPではSPQを採用

そのものウェルネスプログラム(SWP)では、簡便性と継続測定性を重視し、SPQを指標として採用しています。従業員の状態変化を把握しやすく、健康支援や職場改善の効果測定に役立ちます。

プレゼンティーイズムが企業にもたらす影響

一見「出勤しているなら問題ない」と思われがちですが、プレゼンティーイズムには以下のような深刻な影響があります。

  • 生産性の低下(通常時の60〜80%程度と言われる)
  • 判断ミスや作業の遅延
  • チーム全体の業務効率の低下
  • 体調不良の悪化による長期離脱リスク

ある調査によると、プレゼンティーイズムによる損失は、アブセンティーイズムの数倍にのぼるとも言われています。

なぜプレゼンティーイズムが起きるのか?

  • 身体的不調(頭痛、慢性的な疲労、腰痛、アレルギー症状など)
  • メンタルヘルスの問題(ストレス、不安、不眠、うつ傾向)
  • 職場の環境要因(人間関係、過度なプレッシャー、評価制度)
  • 仕事に対する責任感や忖度(「休んではいけない」という空気)

これらは、職場環境や組織文化と密接に関係しています。

対策は「健康経営」と「職場の風土づくり」

プレゼンティーイズムを防ぐには、従業員一人ひとりの健康管理だけでなく、企業としての取り組みが不可欠です。

  1. 健康経営の推進
    社員の健康を守ることで、プレゼンティーイズムの防止につながります。定期的な健康診断だけでなく、メンタルヘルス対策や睡眠・食生活に関する教育など包括的サポートも重要です。
  2. 柔軟な働き方の導入
    リモートワークやフレックスタイム制度を活用することで、体調が悪いときでも無理なく働ける環境を整えられます。
  3. 上司や人事による早期察知と声かけ
    部下の様子に気を配り、不調のサインに気づいたら早めに声をかけることが大切です。
    さらに、「調子が悪いときは休むことも“仕事”のうち」という考え方を、企業全体で共有していくことも必要です。

まとめ

プレゼンティーイズムは、数字に現れにくい「見えないコスト」として、企業の生産性や従業員の幸福度に大きく影響します。
健康経営を進めるうえで、この問題にしっかり目を向け、“働けている”ではなく、“元気に働けているか”を問い直すことが、組織の持続的な成長につながる第一歩です。

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